2017年4月1日土曜日

ガスタイクでブルックナー6番を聴く

ミュンヘン中心部から少し南東方向へ、イーザル川を渡った反対側の岸を登ったところに、ガスタイクという総合文化センターがあります。2016年6月10日(金)夜、そこで開催されるパーヴォ・ヤルヴィ指揮のミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会に行くことになりました。プログラムは、ヴェーベルン=G.シュヴァルツ編曲の弦楽オーケストラのための「ラングザマー・ザッツ(緩徐楽章)」、オルガ・ペレチャッコの独唱で、ベルクの「初期の7つの歌」、そして最後はブルックナーの交響曲第6番です。
夜8時開演ですが、6月なので開演前になってもまだ明るく、さわやかな初夏の風にあたって屋外でくつろぐ人達が大勢いました。




今回、何と1列目の席のチケットをいただいてしまいました。

最前列で、団員の皆さんの息遣い、ヤルヴィー氏の凄いオーラを肌で感じ取ることが出来ました。

          上の階から見るとこんな感じです。

ヴェーベルンの作品は、今回初めて聴きました、1905年作ということで、未だ後期ロマン派の香り漂う作品でした。シェーンベルクの浄夜、シュトラウス、マーラーの影響も感じられる約10分の佳曲、といったところでしょうか。

続く、ベルクの初期の7つの歌、これは日本でも良く演奏されますが、全曲をオーケストラ版で聴くのは初めてです。ペレチャッコさんは、ロシア出身ということですが、ベルリンで勉強されたということもあって、ドイツ語は完璧でした。また、最前列で曲ごとの細かいニュアンスの変化の妙を楽しくことができました。
1曲め「夜」は最も好きな曲の一つで、冒頭「Dämmern Wolken über Nacht und Tal(夕暮れの雲が夜と谷の上に〜)」というメロディーが、12個の音を順番に使って無調性的に開始され、次第にイ長調に収まっていく部分、神秘的なアルプスの夕暮れを想像してしまいます。もし、作曲するならこんな曲が書けたらいいなぁ、と昔から思っていました。
遂に、生で聴くことができました。
そして、メインはブルックナーの6番、イ長調。また、この曲が大好きなのです。多くの場合、ブルックナーといえば、8番、9番、7番あたりが人気のように思えます。もちろん、4番も。かつて、留学の1年目、ドイツでは昼の時間帯は練習禁止なので、昼寝でもしながら何かクラシックでも聴こうと思って、ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管弦楽団のブルックナー7番のレコードを買って来ました。最初、なんと悠長で刺激の少ない音楽なのだろうと思って聴き始めましたが、次第に雄大な楽想、深淵の底からの悲しみと救済に心を打たれました。また日々過ごしていたデトモルトでのドイツ的な広々とした風景、素朴な自然とブルックナーの音楽が相まって、次第に引き込まれるようにブルックナーファンになってしまいました。日本で勉強していた時はこんなにゆっくり音楽を聴く余裕もなかったな、などと思いながら。

そして6番ですが、やはり留学中のある時、チョン・ミュンフン指揮のザールブリュッケンのオーケストラの演奏をテレビで見て、第1楽章の第1楽章のリズミカルな開始、第2主題のロマンティックな表現に衝撃を受けました。その後、CDなどで色んな演奏を聴きましたが、その時の彼の指揮は忘れられません。

今回のヤルヴィー氏の指揮は、解釈、テンポなどオーソドックスで落ち着きがあり、全体の構成を大きく捉えてまとめる、というような印象を受けました。そしてミュンヘン・フィルでブルックナーを聴くのも初めてなので、金管の重厚な響きに圧倒されました。



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