2019年1月20日日曜日

ハイリゲンシュタットにて

ヴィーンに来たら、君は必ずここへ行き給え!と複数の同僚に勧められたのは、ハイリゲンシュタットです。ヴィーン中心部から地下鉄で30分ほど。そう、ベートーヴェンが有名な ハイリゲンシュタットの遺書を書いたベートーヴェンハウス(博物館)のある場所です。ベートーヴェンが田園交響曲などの楽想を練りつつ歩いた小径を自分の足で辿って、ベートーヴェン作品の命題である「苦悩から歓喜へ」の道のりを、肌で感じようではありませんか


さて、まず地下鉄4番線で終点のハイリゲンシュタット(Heiligenstadt)まで行きます。地下鉄は地上に出て、ヴィーン郊外のベッドタウンという雰囲気の駅前へ。ここから市バス38A番カーレンベルク(Kahlenberg)行きに乗り、アルムブルステルガッセ(Armbrustergasse)下車。ハイリゲンシュタット教会の前に行く来ます。


下車すべきバス停留所がよく分からず、乗り過ごしてしまって数駅歩いて戻ったため、30分ほどかかってアルムブルステルガッセに到着。しかし、案内があまりなくてやや心許ないです。

大勢の観光客を想像していましたが、ほぼ無人。日本人の老夫婦があと一組でした。
それもそのはず、ベートーヴェン博物館は改修中で2017年11月まで閉鎖中とのこと、がっくりです。
 
        右がベートーヴェン博物館




仕方がないので、石畳の坂道を下ってベートーヴェンの小径(Beethovengang)に向かうことにしました。
驚いたことに、この界隈に何軒もベートーヴェンの住んだ家、というプレートを発見しました。調べてみると彼は引越し魔で、生涯に80回!も引越ししたそうです。このハイリゲンシュタットは、郊外の別荘感覚で、シーズンに入るとヴィーン市内に居住していたようです。また、部屋を汚すので、大家さんとのトラブルが絶えなかったとか、いかにも彼らしいです。



散々迷ってやっとベートーヴェンの小径へ到着。人は全くいません。ベートーヴェンの曲を思い浮かべながら感慨にふける予定でしたが、この反対側は住宅が並んでいて子供が遊んでいたりと、普通の街の夕方の散歩になってしまいました。

左が有名な小川、右は住宅街です。道路も舗装されていて、歩きやすかったです。

もし、日本だったら歴史に残る楽聖の小径として、もっと周囲を当時のままに保存して観光地らしくするんじゃないか?などど思いました。しかし、大都市近郊では宅地開発は必然だし、遊歩道は明るく広く整備して安全面にも配慮しなきゃならないかと、ベートーヴェンと同じ道を散歩しながら、現実的な感想をつぶやいてしまいました。





斜面にワイン畑、道に迷ったおかげでちょっとだけ往時のような雰囲気を味わうことができました。



       
小径の途中にあるベートーヴェンルーエ(休憩所)と胸像。周囲に誰もいません。